イタリアのハーブ博物館でハーブの歴史を遡る@アボカミュージアム
皆さんお久しぶりです🎵
ここ最近,雑多な諸々の用事に追われてしまい、自分の部屋にこうして戻って来たのは何て久しぶりの事..。もう3月なんですものね。
今日は先日訪れた、イタリア唯一のハーブの博物館、アボカ•ミュージアム(Aboca museum)のお話を💓
場所はトスカーナの素敵な街、サンセポルクロ。我が家から1時間というご近所的な親しみと、画家ピエロ•デッラ•フランチェスカの出生地でもあることから、ウルビーノと絡めてお客様にご案内する機会がちょこちょことある大好きな街です。

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4月に日本のお客様をまたご案内する予定もあるため、しっかり下見...というのはタテマエで、もう8、9年前に来て以来だったので、じっくり自分のために味わいたかったこの博物館。そう、自分へのご褒美に休日を使って心ゆくまでここに居たかったんです。
陶芸の世界にいることで、中世のハーブの薬草壷に魅せられこの世界の魅力を知ったのは以前にもお話しましたが、ここのコレクションも素晴らしいんです!
でもまずは焦らずに順番にお部屋をご紹介。
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外観もクラシックで素敵な入り口。博物館の建物になっているパラッツオ•バルボン•デルモンテ(Palazzo Bourbon del Monte)は1600年代のバロックに差し掛かった装飾が魅力の歴史的建造物であり、2002年にアボカというハーブ製品の会社が経営するミュージアムになりました。
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ミュージアムの第1室はモルタイオ(すり鉢)の間(LA SALA DEI MORTAI)。
ここは石や大理石、金属で出来た各時代のハーブのすり鉢と世界の薬草学に関する文献の最も古いレクションが見られます。
古い言語で書かれた内容、所々は判りますが解読は専門家の助け無しでは無理な学術的な内容ばかりです。美術品としてもものすごい価値のある書籍群。紙質といい、銅版画を手で彩色した挿絵の様式の美しさといい、歴史のロマンに引き込まれていきます。
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こちらは1300年代の無彩色のもの。メリッサの姿を描いていますが、リアリテイーに描写しようというよりは、中世の絵画様式が特徴的に感じられます。これを見ても恐らく私は同じ植物を見分けられないでしょう•笑。それがまた味なのですが💓
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こちらは少し時代が進み有彩色。1500年代に入ると正確な描写を感じられるようになりますね。ルネッサンスはそんな意味でもリアリズムがもっと自由に開放的に表現されるようになったのでしょうか。どんな絵の具が使われていたのか興味津々。
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パラスがとにかく美しいのでとても展示が引き立ちます。ハーブをすりつぶす為の石臼も種類が多く、ハーブには触れることが出来ますよ🎵
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次の部屋は"歴史の間"(LA STANZA DELLA STORIA)。
薬草書や紀元前、紀元後の各時代の医学者がどのように歴史の中で医学に貢献してきたかが彼らの肖像と共に語られます。
特に紀元前5世紀からヒポクラテスの偉業でギリシャにおいて科学となり、ローマの帝国時代にはデイスコリデとガレノスの出現により中世からルネッサンスまでの薬草学に決定的な足跡を残した..という下りには医学のテオリーが医薬品としての薬草とともに西洋で確立していった様子が伺え、とても興味深いものがありました。
というのも最近日本にガレノス協会なるものがあることを知り、イタリアのハーブの歴史好きとしては是非知っておかねば、と協会の方と連絡を取り、トルコにあるガレノスファームで栽培された幾つかのハーブを送っていただいた、という事もあったりで、ガレノスがイタリアにもたらした薬草学の影響についてしみじみ思い入っていたのです☘🌿
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これがそのガレノスファームからやって来たハーブたち🌿
遥かトルコの地で育ったハーブの香りを嗅ぎながら、歴史に思いをはせ...🎵
さて話を戻して次の部屋へ!
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こちらが...."陶器の間"!!(LA SALA DELLE CERAMICHE)
そう、ここが何を隠そう一番楽しみにていたコレクションです💕
ハーブの世界に興味を持ったのは、ファエンツアで陶芸を学んでいた学生時代にこのハーブ壷を知ったことから。
中世の時代から、薬局や修道院で使われ、もちろんその優美さからただの容器ではなく美術品でもあったことは想像するに及びません。日本では、やきものの釉薬の美を景色と呼びますが、これらの壷たちは、本当にイタリア版"釉と顔料の景色"が本当に素晴らしかった!ファエンツア、デルータ、モンテルーポ、カステルドウランテ(現マルケ州ウルバーニア。地元だ🎵)とそうそうたる中部イタリアルネサンスで栄えた窯が名を連ねます。
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このお気に入りの形、"アルバレッロ"と呼ばれる壷は、かつて中国からスパイスや薬草が竹筒に入れられて輸入されており、その竹の節のある様子を形に写し取ったと言われているものです。
形の由来1つにも歴史があって本当に見ていて楽しい!
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このようにテーマのある聖人をモチーフにしたものや...
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東洋の磁器の上の青い絵付けへの憧れから生まれたブルー1色の絵付け、"アッラ•ポルチェッラーナ"。
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明るく華やかな色遣いの南のものなど。どれも土に含まれていた不純物や釉薬の垂れ具合などがとてもいい味を出していて、今のマヨリカ焼きには無い魅力が。
..とやきものの話ばかりではいけないので、さらに次のお部屋へ•笑。
お次のお部屋は、ガラスの間"LA STANZA DEI VETRI"
紀元前1000年からエジプトですでに使われていた吹きガラスの技法。ガラスの容器はハーブの歴史の中でもバームや液体を入れるのに適していた他、蒸留用の器具も多くのものはガラス製でした。
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このお部屋ではガラス容器の製造技術がどのようにハーブを使った薬品と密に繋がっていたかを、とても面白いコレクションと共に感じとることが出来ます。
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私がとても楽しく鑑賞したのはこの小さな箱たち。
とても細かい細工ですが、これは昔の貴族たちが旅行の際に持っていっていた薬箱なんです。
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これもとても細かく仕切られていて面白いんです🎵
あれこれ色々なハーブの蒸留水でも入れていたのでしょうかね?
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これがすごく面白かったです!
本の中にある小さな薬壷☘美術品とも言える志向を凝らした装丁は本当に素敵でした🎵
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吹きガラスで製作されたたくさんのフラスコや瓶類。ガラスの質感や色が時代を語っています。どんな器具や道具でも、手をかけた作品というのはとても美しいものですね。
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私も大好きなこの形。今使われているビスケット容れにも似ていてインテリアみたいです。
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切り子細工が施された瓶たち。繊細な柄がとても素敵で、この中にローズウオーターなどの液体が入っていたらさぞかし趣があるでしょうね💕
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こんなシンプルな瓶もいちいちツボにはまる...あまりゆっくり色々眺めているので、あっという間に時間が過ぎて..さあ次、次!笑
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ここは、ハーブの雰囲気をたっぷり味わいたい方にぴったりのハーブの間(LA STANZA DELLE ERBE)。
この博物館の中でも一番人気のある、ハーバリストの工房のような素敵な部屋です。ハーブの収穫や乾燥、保存方法や利用の仕方などに触れて、人間の生活と薬草たちが寄り添ってきた歴史を垣間見ることが出来ます。
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昔のハーバリストが使っていた収穫用の篭やハーブを保存していた容器等がとても味のある家具に収納された様子。
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この暖炉内にはハーブの処理や加工に使われていた道具たちが。媚薬を用意する魔女さんが思い浮かびませんか?!

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そしてこちらのお部屋。薬局の原形となる、ハーブやスパイス、それらの加工品を扱っていたスペッツイエリア(スパイス、ハーブ販売店)を再現した"古きよきスパイス店"(L'ANTICA SPEZIERIA)
1600年代に入るとヨーロッパでは一般市民に向けたはじめの薬局のかたちが生まれます。火を使った加工技術と金属の蒸留器具の出現によってあらゆるハーブのエッセンスの抽出の方法は飛躍的に進歩。すでに薬局では蒸留水、エッセンシャルオイル、チンキやシロップ、リキュール、ハーブ飲料、バームやクリーム、錠剤、粉状のスパイスなどなど...本当にたくさんの製品が販売されていました。
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こんな風に一色で統一されたボトルもすごく素敵です🎵
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さて、時代は移り変わり1700年代の終わりから1800年代初頭にかけて薬草学の歴史は大きな変化の時代に差しかかります。
植物科学の誕生です。さらに進歩した器材を使うことにより薬剤の主要成分の幅は広がり、現在でも日常的に使用されているキニーネやカフェイン、モルフィネ、コデイン、アスピリンに使われていることでも有名なサリシンなどの植物由来の成分の抽出が行われるようになり、かつての古めかしい魔女の工房のような雰囲気から、近代的なラボラトリーへと薬学の舞台は変化を遂げてゆきます。
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蒸留器も1600年代のものに比べるとずっと精巧な作りに。
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すり鉢類も磁器製のものになるなど、グッと植物科学の名にふさわしいラボラトリーへ。このすり鉢、私も焼き物用の顔料を擦るのに使っています🎵
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海草の標本。海草も海のハーブですよね。この海草はローマ時代から薬草として使われていたとか。
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さらに行くとハーブと関わりの深かった聖人たちの紹介が。
以前、修道院とハーブとの関わりのコラム、で紹介した聖ベネデイクトももちろんいらっしゃいました🌿
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こちらもあまりにも有名な修道女ヒルデガルドさん。彼女に纏わるレシピも多いですね🌿
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そしてこの厳重な扉の向こうには..."毒薬の独房"(LA CELLA DEI VELENI)が!
黒魔術を連想させる独特の魅力のある空間。でもやはりこれも魔力的なハーブの歴史の一部なんですよね。

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最後のお部屋は"1800年代の薬局"(LA FARMACIA DELL'800)
洗練された陶器の薬壷のコレクションや、当時の薬局の伝票など、レトロ感溢れる空間です。ここでは初めてワニやカメなど、動物性の成分を薬の主成分とする文化が生まれたことが、壁に飾られたワニや亀の甲羅からうかがうことが出来ます。
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は~、この時代の壺もやっぱり素晴らしい💕
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この時代になると近代のレトロを感じられるボトルが沢山!
おばあちゃんの家の屋根裏部屋なんかにお宝として隠れていそうですよ😆。
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ちょっとフィレンツェのサンタ•マリア•ノベッラ薬局の雰囲気も感じられて...
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絵になる包装ばかり。薬品が並んでいる様子を見るとなぜか物語に引き込まれて行くような不思議な気持ちになります。(変?!)
これで博物館はおしまいです。
...名残惜しい....涙。もう一周しようかな•笑。
最後にアボカ出版から刊行されている本のブックショップを見ました。
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ハーブや野草関連の本が一杯!
持っているのもチラホラ...なんと食文化の歴史家の友人、エットレが書いたお菓子の歴史本がある!あらら、今度サインもらっとかなきゃ、と思いつつ購入。エットレさん、ブラボー!!
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フフフ、これです🎵食と芸術文化と歴史。さすがエットレ。
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そして何と。1568年にオリジナルが印刷された私の憧れのピエロ•アンドレア•マッテイオーリのレプリカ本が!!
素晴らしい挿絵群と神々しいテキスト。ページをめくるとルネサンスの薬草学の世界に引き込まれること間違いなし。
古い言葉を知っているプロの翻訳者が必要ですが。私は途切れ途切れにしか知っている言葉がない•涙。
ローンを組んででも手に入れたいものですが...定価690ユーロ。
普通に日本行きの旅券が買えてしまう。おそろしや。😵😵
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気をとりなおしてアボカ社の製品の売店でハーブテイーなどを購入しました。
ミュージアムを後にして向かったのはある修道院。
ここに聖ベネデイクトの生涯の一連のフレスコ画があるのです。
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淡くうっすらとしか残っていませんが、修道院の回廊の壁面が埋め尽くされています。
全体が完全な形で残っているフレスコ画も素敵ですが、この途切れ途切れの感じ...好きです。
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これで私のハーブを巡る小さな旅は終了。書いていても長かった•笑
ハーブとイタリアが好きな方は、是非ご旅行の際に訪ねられることをおすすめします。
小さなタイムスリップができますよ💕。
それでは、また。

アボカミュージアムのサイトはこちら

http://www.abocamuseum.it/it/










[PR]
by colline_raffaello | 2018-03-04 08:28
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