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カルロとジージャという生き方のお話☆@ウルビーノの丘のファーム
こんにちは!
8月のマルケの食の旅レポートのアテンドが終了し、改めてご紹介したいいくつものことが頭を駆け巡っておりますので、少しずつお話していきたいなと思います🎶

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カルロとジージャはウルビーノ近郊の丘で、チンタセネーゼという種の豚さんや、牛、ロバ、にわとりなどを放牧して飼い、ハムやサラミを作っている"カル•ビアンキーノ(Cal Bianchino)"という小さなファームを経営しています。
数年前にも一度ブログで彼らのお話を書きましたが、今回のお仕事で、マルケ料理をされているシェフさんと、写真家の方をお連れした時の様子を改めてご紹介。

彼らの目指すファームライフは、イタリアからはほぼ消えてしまった、戦前、もしくは高度経済成長前に存在していた"農家"のありかたです。そして二人のご両親も、そのまたご両親も重ねてきた生き方。
現在のような大型の農機具や農協が無く、地主から与えられた土地を耕作し、収穫の半分を地主に納め、家畜に与える餌から自ら栽培し与えていた時代。
今でこそ、自給自足という言葉がありますが、ひと昔はそれが当たり前の生活だった時代がイタリアにもありました。
二人が出会ったこの土地で、二人の源流を再現し、次世代に伝える橋になろうと開いたファームです。

そんな彼らのもとで、イタリアの農家の昔ながらの生活に触れてもらおうとお客様にもご案内を始めたのが2年ほど前でしょうか。

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ウルビーノ近郊の丘が一望出来る広々とした景色がこのファームの背景😊😊

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この日はアメリカやドイツからのワークショップ参加者も一緒でインターナショナルな雰囲気でした•笑
今ではビジネスの世界と化してしまい遠のいた彼らですが、スローフードの祭典、トリノのサローネでもワークショップ経験のある彼ら、世界中からお客さんが訪ねて来ます。

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そして早速サラミやサルシッチャ(イタリアの豚のソーセージ)作りを工房で体験!解体から腸詰めまで丁寧にカルロが教えてくれます。
調味料はもちろん、塩、コショウのみ。現在では多くのイタリアのサラミ、ハム工房が保存料を使うようになってしまいましたが、彼らは昔からの作り方を守っています。

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サルシッチャも綺麗に出来ました。

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さらにラードを煮詰め、タンパクや繊維質がカリカリに揚げ上がる"チッチョリ"も作ります。
大きな鍋を火にかけて、じっくり加熱していきます。

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キツネ色になったらローリエを加えながら濾し、液体の精製ラードと分けます。
プーンとローリエのいい香り💖

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濾したチッチョリは塩をふってローリエと一緒に揉み混んで冷まします。

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それから、解体の日には決まって作られる内臓料理。冷蔵庫の無かった時代は家庭での解体は冬と決まっており、傷みやすい内臓から調理されました。
この日は郷土料理でもあるレバーとローリエの網脂包み焼きを用意してくれました。

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美味しそうにジュージューとカルロが焼いてくれました。
内臓料理とローリエの組み合わせの歴史は古く、古代では、生き物のアニマ(魂)は心臓ではなく内臓にあると解釈されており、アポロ神に供物を捧げる儀式で、彼のシンボルであるローリエと内蔵を組み合わせて焼き、その香りを煙りと共に神に届けたと言われているとか。これは地元の歴史に詳しい料理研究家のかたに聞いたお話です。恐らくその習慣が長い歴史のなかで残り、昔の農家でも知らずして伝承していたのかも知れませんね。

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いつ見ても落ち着く素朴なしつらえの彼らのキッチン。家具なども昔ながらの農家の面影が残るものばかりです。

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この日は天気が良かったので外でランチを🌹☘

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まずはジージャのお手製のマルケ風ラザーニャ•ビンチスグラッシを。ラグーソースの代わりに鳥の内臓やすじ肉を細かく切ったものがソースに使われています。
昔の農家では、高価な肉は地主さんに献上されていたので、のこりものである内臓や、柔らかくないすじのある肉を煮込んで食べていた習慣の名残がこの料理の源流になっているそうです。

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ジージャが薪窯で焼く天然酵母のパン。もちろん小麦粉も彼らが栽培したものです。

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チッチョリもこうしてカリカリのおつまみとしてとってもワインに合います。

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最後には美味しいクロスタータ(ジャム入りタルト)で!
素朴な焼き菓子は農家ならでは。生地にはもちろんバターではなくラードがねりこんであるんです。

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最後はハムやサラミの熟成庫を見学。チンタ•セネーゼのハムは、足の蹄を残すという決まりがあるそうです。
熟成が終わっていないものも、予約のチケットでいっぱいでした。

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1日をかけてゆっくり滞在した二人のファームのレポート。彼らの信念をさらにひしひしと感じた時間となりました。

また近いうち訪ねて行きたいと思います😊😊😊。

それでは、また!








by colline_raffaello | 2017-09-18 07:23 | 食文化
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陶芸作家の傍らマルケ州の宝石・ウルビーノを中心にマルケ旅行のアテンド活動中!
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